タクシーを呼ぶ・乗る 世界のタクシー

元タクシードライバーが教える 海外タクシーぼったくり対策

2018年9月14日




海外のタクシーを利用する上で、特に、海外初心者が陥りやすい最もやっかいなトラブルが「ぼったくり」です。今回の記事では、前回までの内容を踏まえ、海外タクシーでの「ぼったくり」の対処方法をお伝えしていきます。

海外のタクシーにぼったくりが多い理由

 

タクシーに限らず、観光地のツアーやお土産など、海外では日本と比べてぼったくりが多いです。なぜか?その理由は大きく以下の2つと考えます。

 

ぼったくり文化が社会に根付いている

海外の一部の国と地域では、ぼったくり文化が強く社会に根付いています。これは、宗教、お国柄や貧富の差などが影響していると考えます。

極端に言うと、「お金持ちは貧乏人にお金を与えるのは当然」と考えている人が、そのような地域には少なからずいます。

ぼったくり行為を「悪」と考えてない人も多くいるでしょう。

彼らにとって、ぼったくりは「あいさつ」のようなものかもしれません。

なので、ぼったくり行為を現地のタクシー会社に通報したところで、よほどの金額でない限り、全く相手にされないでしょう。

 

外国人はカモ

海外に行けば、我々日本人は外国人です。外国人は一般的に現地人と比べて、その国の慣例や物の相場、言語、地理に詳しくありません。つまり、ぼったくりの「カモ」としては現地人に比べて圧倒的に良いのです。特に、お金をある程度持っていて、「No」と言えない日本人は現地人にとって「最高のカモ」です。

タクシーの場合、我々外国人は現地のタクシーのシステムや料金相場に詳しくありません。なので、特に海外初心者はタクシードライバーの言いなりになってしまいます。また道も詳しくありませんので、多少遠回りされても「ぼったくられていることすら分からない」ことが多いと思います。

 

※私は東京でタクシードライバーをしています。当たり前ですが、私はぼったくり行為は一切しません。日本でもしこれをやってしまったら、会社かタクシーセンターに通報されて一発でクビでしょう。東京でも外国人のタクシー利用客は多いです。平均して1-2組/日くらいは乗せます。多くの外国人は東京の複雑な道など全く把握していない様子です。なので、「ぼったくろう、と思えば簡単にできるんだろうなぁ」と思うことは正直多々あります。当然やりませんが。

 

ぼったくり対策

ぼったくり文化の根付いた海外では、最高のカモである日本人がぼったくられるのは仕方がない・・・

いいえ、我々(の大部分)はチャリティ活動をしに海外に行くのではありません。気分の悪くなるぼったくりにお金を使うくらいなら、現地でもっと楽しく有意義なことにお金を使いましょう。

無知は現地の相場を不要に吊り上げてしまいます。我々の後輩のためにも、ぼったくりは極力阻止していきましょう。

 

ここでは、私の実体験をもとに、特に海外初心者の方が海外でぼったくり被害に遭わないようにする方法をいくつかご紹介いたします。また、各方法のぼったくり抑止効果を独断で評価していますので参考にしてください。

 

料金が事前にわかる配車アプリを使う(抑止効果:最強!

2018年現在、私が考える海外のタクシーでぼったくり被害に遭わない「最強」の方法がこれです。この方法だけで、圧倒的にぼったくり被害に遭う確率は下がります。

 

具体的には、UberやGrabなどの料金が事前にわかる配車アプリを使います。

アプリの詳しい利用方法に利用方法についてはここでは割愛します。

 

なぜ、この方法が最強なのか?

1つは、「料金が事前にわかる」からです。

ドライバー・客の互いの端末の画面上に料金が表示されていますので、

それを確認しながら料金を精算します。

 

それでも、ぼったくろうと考える輩はいるでしょう。

 

この方法がぼったくりのような不正行為が少ない最大の理由は、

「ドライバーの評価システム」にあると思います。

万が一、ぼったくりなんかをしようものなら、客から悪い評価を付けられてしまいます。

悪い評価を付けられたドライバーは、最悪、登録を抹消され、仕事ができなくなります。

(逆に、ドライバーから客の評価システムもあり、客が料金を踏み倒すなどした場合、客も悪い評価を付けられ、最悪システムを利用できなくなる。)

(私は配車アプリ利用でぼったくられそうになったことがありますが、悪い評価を付けるとドライバーに伝えてぼったくりを阻止しました。)

このシステムがある意味、日本の「タクシーセンター(会社)に通報」と同じ役割を果たしているのだと思います。

海外の場合、我々が現地のタクシー会社やタクシーセンターに相当する機関に通報することはかなり困難です。また、通報したところで相手にされないでしょう。

 

このように、「ぼったくりを防ぐ」という意味では最強の配車アプリですが、

この方法にもいくつかの欠点があります。

 

【配車アプリの欠点】

・利用できる場所が限られる

海外の主要都市では配車アプリが使える場所が結構あります。都市部では、配車アプリが重宝しますが、田舎などはほとんど対応していない場合が多いです。

 

・端末とインターネット環境が必要

配車アプリを利用するには対応する端末とインターネット環境が必要です。これがないと、当然利用することができません。

 

・「お手軽さ」は流しのタクシーと比べると悪い

「今すぐにタクシーに乗りたい!」と思ったときに手を挙げてすぐに乗れるのが、流しのタクシーのいいところです。配車アプリの場合、アプリの操作及び配車までの時間(多くの場合数分程度)が必要です。お手軽さでは流しのタクシーには敵いません。逆に、流しのタクシーが周囲に全くいないような状況では、アプリのほうが早く捕まる場合もあるかもしれませんが。

 

・メータータクシーと比べて料金が高くなる場合もある

状況によってはメータータクシーより料金が高くなる場合もあります。これは国、地域、タクシー会社により異なりますので、一概にどちらが安いとは言えません。同じ区間で両者を試してみて、安いほうを利用するのがよいかもしれません。

 

 

 

 

配車アプリを使わない(使えない)場合

配車アプリを使う(使える)場合は、配車アプリによりぼったくりは「ほぼ」防げますが、そうでない場合は以下の方法により、ぼったくりを撃退しましょう。

 

タクシー選定時の対策

全般的に言えるスタンスとしては「こちらが主体的にタクシーを選ぶ」ことです。

向こうから声をかけてくるタクシーには乗らない(抑止効果:大)

他のタクシーを利用できる状況であれば、向こうから声をかけてくるタクシーは利用しないほうが賢明です。こちらがカモだとわかって向こうから声をかけてくるのです。ぼったくられる可能性大です。こちらが主体的に選ぶことが大切です。

 

客待ちタクシーには乗らない(抑止効果:大)

客待ちタクシーはぼったくられる可能性が大です。特に、観光地や夜の歓楽街の客待ちタクシーはほぼぼったくりと考えてよいでしょう。少しでも時間に余裕があるのであれば、通りまで出て流しのタクシーを拾ってください。

 

若いドライバーを選ぶ(抑止効果:中)

私のような加齢臭プンプンの「おっさん」ドライバーは若いドライバーと比べると、ぼったくりの可能性が高いです。

おそらく、教育の水準が上がり、若者の方が民度が上がっているのと、若者の方が純粋であることが影響しているのでしょう。

また、若者の方が英語を喋れる確率が上がります。これも教育の水準が上がってきている証拠ですが、ドライバーとのコミュニケーションも取りやすくなります。

海外は日本と比べるとタクシードライバーの平均年齢は若い国が多いです。積極的に若者を選びましょう。

 

制服を着ているドライバーを選ぶ(抑止効果:小)

どちらかといえば、私服のドライバーの方、がきちんとした制服やスーツなどきちんとした服装をしているドライバーよりぼったくりが多い気がします。

選べる状況であれば、きちんとした制服のドライバーを選ぶとよいでしょう。

 

 

 

 

乗車直前の対策

良さげなタクシーを見つけても、油断は禁物。乗車前にドライバーとやりとりをします。

日本のように安心してすぐに乗り込もうとしないでください。

 

メーターを使わせる(抑止効果:大)

白タクやライドシェア以外の多くの4輪タクシーには日本のタクシーと同様、メーターが付いています。しかし、ぼったくりタクシーはメーターを倒そうとしません。まず、行先を伝えると、ほぼ100%メーター料金より高額な料金を吹っかけてきます。そういう場合は「メーター」と伝えてメーターを使うことを確認しましょう。メーターを使おうとしない場合は、他のタクシーを探しましょう。

 

メーター料金でない場合は料金を事前に確認する(抑止効果:大)

夜の歓楽街や渋滞中、観光地など場合、多くのドライバーが「メーターを使いたがらない状況」が発生します。そういった、どうしてもメーターを利用するタクシーが見つからない場合は、乗車前に料金を確実に確認してください。これを怠ると、目的地到着後に法外な金額を請求される場合があります。

また、2-3台に料金を確認することで、料金が安くなることが多いです。時間に余裕のある場合はやってみてください。

 

 

 

 

 

乗車中の対策

さて、料金の確認も終わり、タクシーに乗車しました。現地の景色を楽しみたいところですが、まだ油断は禁物です。

メーターが正常に動作しているか確認する(抑止効果:中)

乗車前の交渉でメーターを作動させることを確認したら、乗車後に実際にメーターを作動させたことを確認してください。日本のタクシーと同じく、料金の数字が上がり始めますので。

ごく稀に、メーターを改造して、通常ありえない速度でメーターが上がる場合もあるそうです。なので、料金の相場も事前に把握しておくといいでしょう。

グーグルマップで道を確認する(抑止効果:中)

メーターを使用する場合でも、ぼったくりドライバーはこちらが外国人で現地の地理を理解していないことをいいことに、道を故意に大きく迂回してくる場合があります。これを防ぐために正規のルートを逸脱していないか確認してください。具体的にはグーグルマップなどの地図アプリを使います。ドライバーもこちらがグーグルマップを使い始めると、プレッシャーがかかり迂回をすることはなくなると思います。万が一道を逸脱している場合は直ちに指摘してください。

 

 

 

清算時の対策

さて、なんとか目的地に到着しましたが、タクシーを降りるまで気は抜けません。清算時の対策です。

 

追加料金への対応(抑止効果:中)

高速道路の料金は、国や地域によりますが、一般的にこちらが支払う必要がある場合が多いです。日本と異なり、高速に乗る前に料金所で料金を現金で請求してくる場合が多いです。

ぼったくりドライバーは何かと理由を付けて、後付けでメーター料金や事前に交渉した料金に上乗せして不当な追加料金を請求してきます。

例えば、「道が混んでいた」や「深夜割増」などです。基本、このような後出しじゃんけんは全て拒否していいと思っています。まずは「No」と言うことです。

 

チップへの対応(抑止効果:中)

国や地域により降車時にチップを要求されることがあります。これは国や地域によりルールが異なりますので、事前に把握しておき適正な対応をしましょう。

 

事前対策

最後に、タクシー乗車前にできる対策です。

 

小銭を用意する(抑止効果:中)

ぼったくりドライバーは精算時にお釣りの紙幣が無いことを理由に、お釣りをチップとして返さないことがあります。近くにATMやコンビニなどがあれば、そこで崩せばいいですが、そうでない場合はチップとして渡さざるを得ない状況になります。

海外では、そもそも、ぼったくりドライバーでなくても、お釣りの紙幣を十分に用意していない場合が多いです。例えば410円の料金を1万円札で支払おうとしても、それは現地のドライバーにとっては「想定外の非常識」なことなのです。

なので、乗車前に極力お金を崩しておくことが大切です。

現地の言葉を勉強する(抑止効果:中)

なかなか難しいと思いますが、英語で交渉するより、現地語で交渉したほうが、ぼったくられる可能性は下がると思います。本人の語学力に大きく左右されると思います。時間に余裕がある場合は、「いくらですか?」とか「簡単な数字」くらいは勉強しておいたほうがいいかもしれないです。

現地人と一緒に乗る(抑止効果:大)

現地人と一緒に乗れば「外国人だから」という理由でぼったくられることはなくなります。ただし、その現地人とドライバーが知り合いの場合はグルでやられる可能性がありますので注意が必要です。

 

現地に馴染む格好をする(抑止効果:小)

ブランド物の小物や服を着て、観光客オーラを醸し出しているのは「ぼったくってください」と言っているようなものです。

現地では、なるべく現地に馴染むような恰好をしましょう。

 

 

 

まとめ

さて、ここまでのぼったくり対策をまとめると、ぼったくりに遭わないようにするためには、

まず、

「配車アプリを利用する」

ことを試みる。

 

配車アプリを利用しないまたはできない場合は、

「流しの」「若い」「きちんとした制服をした」ドライバーの「メーター」タクシー

を選び、乗車前から清算まで気を抜かずに対策することでかなりのぼったくりを回避できると思います。







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