タクシードライバー経験者の筆者の予想。
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タクシー配車アプリおすすめ比較完全版2023
こんな方におすすめ タクシーをアプリで呼びたいすべての人 2023年9月現在、国内で使える主要タクシーアプリは以下です。 GO ←全国でおすすめ! S.RIDE ←東京・大阪・名古屋でおすすめ! ...
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タクシー業界の今後に影響を及ぼす要素
まず、今後のタクシー業界に影響を及ぼすであろう要素を影響を整理しておく。
すでに影響あり
配車のAI化・多機能化(配車アプリの進化)
配車アプリの進化により、効率的な配車が可能になるので結果、タクシーの需要増につながると考えている。
2020年前半時点で国内のタクシー配車アプリの普及率はわずか2%。海外での配車アプリ普及率と比べて遅れを取っていると言わざるを得ない。
理由は以下と分析。
- 既存のタクシーの質が高い
海外では、国にもよるが既存のタクシーサービス(アプリ不使用)の質が低いことが多い。特にぼったくりがひどい。
筆者は海外でタクシーを利用する場合は、配車アプリの利用が可能な状況であれば、極力アプリ配車を利用するようにしている。アプリ利用により料金が乗車前にアプリ上で確定されるので、ほぼ100%ぼったくりを回避できる。
日本では現在、タクシーのぼったくりはほぼないので、アプリを利用せずとも安心してタクシーに乗ることができる。特に都市部ではタクシーが周辺にたくさんいるので、わざわざ配車する必要がない。つまり、アプリを使う必然性が現状まだまだ低いと言える。
- ライドシェアの禁止
ライドシェアが解禁されている国では、Uberなどにより配車アプリが爆発的に普及した。
これにより、既存のタクシー業界は打撃を受けたが、ライドシェアを含めた「タクシー類似サービス」全体の需要は伸びたと考えている。
日本ではライドシェアが禁止されていることが、配車アプリが普及していない理由の一つである。(しかしながら、ライドシェアが解禁されれば既存のタクシー需要は少なからずマイナス方向に影響を受ける)
では、今後日本で配車アプリを普及させるために必要なことは何か。
2023年現在、国内の配車アプリシェアトップは「GO」だ。
GOの経営陣がシェア拡大、ユーザーの利便性向上のために強化すべき配車アプリの機能として以下を掲げている。
(基本的には海外のUberなどでは既に搭載されている機能、GOでも一部の機能は搭載されつつある)
相乗り
「多少時間がかかっても、少しでも料金を安くしたい」というユーザーは結構多いと思う。
例えば、終電を逃して、
普通のタクシー:4000円⇒1000円の漫喫で一夜を過ごす
相乗りタクシー:2000円⇒タクシーで帰宅
という選択を取る人は一定数いるはず。
タクシーの潜在的なニーズを掘り起こせる。
見知らぬ人と密室で過ごすことになるので、犯罪対策としてクレジットカードやマイナンバーカードの登録を必須にするなどの対策は必要。
相互評価
相互評価により、悪質ドライバー、悪質客を淘汰できるので、ドライバー・乗客共に質が高くなり、アプリの利用促進につながる。
乗客は配車アプリを利用したほうが質の高いタクシーを利用できる。
ドライバーは配車アプリ経由のほうが質の高い客を乗せることができる。
現状、配車アプリの「GO」は客がドライバーを評価する機能はあるが、ドライバーが客を評価する機能はない。
変動料金
タクシー需要の低い状況では料金が安く、需要が高い状況で料金が高く、このような変動料金を導入することで、需給バランスを改善することができる。
事前確定運賃
GOなどの配車アプリでは一部地域にて既に搭載されている機能。
事前に運賃が確定されることで、「降りるまで料金が確定しない」という従来からのタクシー特有の不安が消える。
現状の事前確定運賃は「同地域、同時間帯でのタクシー運賃の平均値」であるが、事前確定運賃利用により平均値から少しでも割引を受けられるようにすれば、利用者がより増えると思う。
日時指定予約
従来の電話配車でも可能なことなので、特に新しい機能ではないが、GOでは現状一部の地域のみで対応なので、全エリアでの対応が望まれる。
車種指定
従来の電話配車でも可能なことなので、特に新しい機能ではないが、GOでは現状一部の地域のみで対応なので、全エリアでの対応が望まれる。
その他、筆者が配車アプリに望む機能は以下。
流しのタクシーを配車アプリ決済する機能
この機能は現状GOで一部地域で対応している。
しかし、今のところこの機能を使うメリットは「降車時の決済手続きが不要」くらいなので、以下が望まれる。
・アプリ決済による割引(現状は流しのタクシーアプリ決済ではクーポン使用不可)
・事前確定運賃の利用
配車を確定せず呼ぶ機能(フルクルの機能)
簡単にいうと、「近くのタクシーに乗客の現在位置・乗車意思を知らせる」機能だ。
この機能は配車アプリの「フルクル」に搭載されている。
現状、著者の知る限り国内(世界?)で唯一「フルクル」のみが持つ機能だ。
というのも、フルクルを開発した東京の大手タクシー会社のkmグループが、この機能の特許を取っているとのこと。
フルクルの素晴らしいところは
・配車料金が発生しない
・配車依頼しても別の流しのタクシーが先に来ればそれに乗ってもよい
フルクルの残念なところは
・呼べるタクシー会社とエリアが限定される
フルクルの開発元のkmグループとGOの開発元の日本交通はライバル関係にあるので、GOにその機能を搭載することは難しいと思うが、kmグループも呼べる配車アプリ「S.RIDE」と「フルクル」が統合され、「S.RIDE」対応のタクシー全てがフルクルの機能で呼べる日が来るかもしれない。
・新規インストールで500円分、さらにコード(友達等から入手)入力などで最大6500円分のクーポンGET!
リモート化・オンライン化
2020年はこれによりタクシー需要が激減した。
コロナ収束時には、リモート化の流れは一時的に止まる可能性があるが、長期的にはこの流れは今後も継続すると考える。
具体的なタクシー利用客への影響は以下。
通勤⇒在宅ワークの普及により減少。
会食⇒lineやzoomなどのオンライン飲み会の普及により減少。
買い物・飲食⇒AmazonやUber Eatsなどの普及により減少。
人口減少と高齢化
2060年には2020年比で約2-3割日本の人口が減ると予測されている。
つまり、タクシーの乗客となりうる母数が減るということだ。
総務省 より引用
一方、2010年頃以降、タクシードライバーの数も急激に減少している。
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全国ハイヤー・タクシー連合会 より引用
日本の労働人口(15~64歳)の減少に伴い減少していると考える。
さらに、高齢者(65歳以上)の人口は2040年頃まで増えると予想されている。
自家用車を運転できない高齢者がタクシーを利用する機会が今後も増えることが考えられる。
つまり、人口変化に伴う1乗客あたりのタクシードライバーの需要は増える可能性が高いといえそうだ。
ただし、これは「自動運転タクシーの普及」が始まるまでの話。
自動運転タクシーの普及が始まれば、タクシードライバーの需要は急激に減少するだろう。
(自動運転車の普及時期については後述)
経済・社会情勢など
タクシー需要は経済・社会情勢に大きく左右される。
短期的には2020年はコロナの影響により、タクシー需要は激減した。
景気後退というよりは、感染拡大防止のための外出自粛によるものが大きい。
2021年は延期となった東京オリンピックが予定されているが、開催できるかかなり怪しい。
コロナ収束時期については予想が難しいが、ワクチンが国民全体に行き届くには2021年秋以降と個人的には予測している。
タクシー需要の完全回復(2019年水準)も2021年後半以降だろう。
長期的には日本経済は低迷しているといわれるが、1人当たりGDPでいえば依然として世界トップクラスである。
ニッセイ基礎研究所 より引用
よって、経済・社会情勢によるタクシー需要は波はあれど、長期的には2010年代の平均的な需要は維持しつづけると考える。
2020年代に影響
ライドシェア(白タク)解禁?
2023年現在、日本ではライドシェア(白タク)は禁止されている。
実際にライドシェア(白タク)が解禁されるかどうか、解禁の是非については本記事では割愛する。
以下、ライドシェアが日本で解禁された場合の既存のタクシー業界への影響を述べる。
結論的には、ライドシェアが解禁されても海外のように既存のタクシー業界が大打撃を受けることはないのではないかと思う。
理由は、日本の既存のタクシーの質が高く、ライドシェアを利用するメリットが「料金の安さ」くらいしかないからである。
海外の一部の国では、既存のタクシーの質が低くぼったくりなどが横行しており、配車アプリを介してライドシェアをすることで質の低い運転手を回避できる、というのがライドシェアの大きなメリットの一つである。
日本の既存のタクシーでは意図的にぼったくりするドライバーはほとんどいない。
【参考:日本と海外のタクシーの違い】
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タクシーは高すぎて乗れなかった顧客の潜在的な需要を掘り起こすことができるので、既存のタクシーとライドシェアの合計の利用者という意味では、タクシー的なサービスの需要は増えると予想する。
2030年代以降影響
自動運転化
自動運転は長期的にはタクシー業界に最も大きな影響を与える要素といえる。
完全自動運転が実用化、普及し始めれば、タクシードライバーの需要は激減するだろう。
また、自動運転化に伴い、ドライバーの人件費を大幅に削減できるので、タクシー料金の大幅値下げが期待できる。
特に、日本を含めた人件費の高い先進国では、インパクトが大きい。
なお、日本のタクシー料金の約7割は人件費である。
全国ハイヤー・タクシー連合会 より引用
つまり、自動運転タクシーの普及が進めば、料金が現状の3割程度になる可能性もある。
料金値下げに伴い、バスや電車を利用していたユーザーも便利で安い自動運転タクシーにシフトする可能性が高い。
では、この自動運転、いつ頃から普及し始めるのか?
とりあえず、こちらの動画をご覧いただきたい。
すでにアメリカの街中で完全無人タクシーサービスが提供されている。
エリア限定とのことだが、そこそこの交通量の太い道路を無人タクシーが補助ドライバー無しで普通に走っている。
おそらく、2020年代にも日本の一部地域で、2030年代には東京の中心部でも完全無人タクシーが普及し始めるだろう。
私も東京の中心部で無人タクシーが普及するのは数十年先、私がこの世にいる間は不可能と考えていたが、この動画を見て考えを改めざるを得なくなった。以下のホリエモンの本にもドライバーという仕事は「10年後になくなる仕事・減る仕事」にリストアップされているが、遠い未来の話ではなく、いよいよ現実味を帯びてきた。
ドローンタクシー
こちらは実用化されても、既存のタクシー業界への影響はそれほど大きくないだろう。
基本的に、航空輸送は陸上輸送よりもエネルギー効率が悪いとされているので、ドローンタクシーも自動車のタクシーと比べてかなりエネルギー効率が悪いと考える。
よって、自動車のタクシーよりさらに高級な乗り物、という位置づけとなるので利用者は限定される可能性が高い。
タクシー業界・ドライバーの今後の予想
上記の要素を踏まえて、タクシー業界、タクシードライバーの今後を予想(妄想)。長期的にはタクシー利用者は今より増え、ドライバー需要はほぼゼロになると考える。
2020年代 ⇒ タクシー需要変わらず、ドライバー需要増
2021年後半
コロナ収束。タクシー需要回復
2020年代前半
配車アプリの多機能化によりタクシー利便性向上、需要増。一方、オンライン化・リモート化により需要減。ライドシェア部分解禁、既存タクシー業界への影響小。
2020年代後半
日本の一部地域でベンチャー企業による完全自動運転タクシーサービス開始
2030年代 ⇒ タクシー需要激増、ドライバー需要激減
2030年前後
リーマンショック、コロナショックに次ぐ何かしらの社会的大混乱発生、タクシー需要一時的に激減
2030年代前半
既存タクシー会社も自動運転タクシーに参入、東京都心部でも完全自動運転タクシーサービス開始 長期的なドライバー需要減少開始
2030年代後半
既存タクシー会社の大半が自動運転化される、ドライバー需要激減。個人タクシーの一部は自動運転タクシー事業者へシフト、残りは高級車路線で勝負か廃業。自動運転化に伴う料金値下げによりタクシー需要大幅増。
2040年代以降 ⇒ タクシー需要増、ドライバー需要ほぼ無し
2040年代前半 日本の9割のタクシーは自動運転。人件費ダウンによる料金の大幅値下げ。一部の超エリートドライバーのみドライバー職を継続。ドライバーの地位向上。
今後タクシー業界を目指す人へ
タクシードライバー一本で一生やっていく、というのは厳しい
あなたが今2-30代という年齢であれば、定年を迎えるまえにドライバー需要は激減する可能性がかなり高い。
タクシードライバーだけで生計を立てていくのは、将来的に厳しくなるだろう。対策として考えられるのは以下。
・ほかに収入源を持ちつつタクシードライバーを継続
・景気のいいタイミングを狙ってタクシーで一気に稼ぎきって辞める(2020年代がタクシードライバーで稼ぐ最後のチャンスかもしれない)
・自動運転タクシー事業者側にシフト
それでもやってみたいという人へ
よく、「タクシードライバーはだれでも簡単にいつでもなれる、若者がやる仕事ではない」と言われるが、長期的には上記の通りタクシードライバーの需要は激減しタクシードライバーになるのが難しくなる可能性が高い。
タクシードライバーの適性があり、人生経験としてタクシードライバーをやりたいと思う人は、後回しにせず、やれるうちにやっといたほうがいい。
【参考】
タクシードライバーへの具体的ななり方>>東京のタクシードライバーになるには
タクシードライバーで効率的に稼ぐ方法>>東京のタクシーで平日夜効率よく稼ぐ方法【時間単価を上げる】