こんな方におすすめ
- 新卒でタクシー会社を受けようか迷っている大学生
- 新卒でタクシー会社から内定が出たが、入社するか迷う
- サラリーマン、タクシードライバー両者の経験者の意見を聞きたい
新卒でタクシードライバーになることについて。
新卒でサラリーマンを経験してからタクシードライバーに転職した私の経験から、過去の自分にアドバイスをするつもりで考えをまとめてみました。
「新卒でタクシードライバーなんかやめとけ。」など、頭ごなしに新卒タクシードライバーを否定するつもりは全くございません。
結論を先に言うと、「人によりオススメできる人とできない人がいる」です。
【参考】
「中途のおっさん老害ドライバーの説教など聞きたくない。新卒タクシードライバーの話を聞きたい。」という大学生の方は、以下のブログを読んでみてください。
東京の新卒タクシードライバーの貴重な個人ブログです。タクシー会社のブログには書けないようなリアルな本音が聞けると思います。
新卒(大卒)タクシードライバーのメリットとデメリット
新卒タクシードライバーをオススメできる人とできない人の前に、まずは新卒ドライバーのメリットとデメリットを列挙していきます。
メリット
20代に限れば同年代より稼げる場合が多い
以下のように、タクシー業界の平均給与は新卒学生の平均より高いです。
平成29 年平均給与(月給) タクシー業界:334,300 円
東京都新卒学生平均初任給:214,900 円
新卒学生平均初任給:206,100 円
資料:厚生労働省・賃金構造基本統計調査(平成29 年)
タクシードライバーの給料は年功序列は関係なく、ほぼ歩合制のため、新卒ドライバーでもある程度のセンスと努力があれば、この業界平均給与は1年目からでも稼げるようになります。
よって、センスのある人が努力すれば周囲の平均的な20代新卒サラリーマンよりはタクシードライバーのほうが稼げる可能性は高いです。
具体的に、タクシーでどのくらい稼げるのか。
詳しいことは以下の記事を参考にしてみてください。
時間を自由に使える・連休を取りやすい
一般的な企業のサラリーマンと比べると、時間を自由に使うことができます。
①仕事中
タクシードライバーは自分の裁量で仕事の内容や順序を決められる部分が多いです。
休憩も自分の好きな時間、場所で取れます。
また、待機中も(業務に支障のない範囲で)読書など自己研鑽をすることができます。
②プライベート
サラリーマンと比べて、好きな時期に連休を取りやすいです。
「自分がいないと回らない仕事」というものが無いからです。
長期休暇のための、引継ぎ等の調整もほとんどありません。
個人タクシーを長期間できる
新卒であれば、個人タクシーに最短で30代前半でなれます。
法人タクシーより個人タクシーの方が稼げる場合が多いので、その期間を最大とすることができます。
将来的に個人タクシーという制度自体がどうなるか、わかりません。
タクシードライバーという職業がAIに代わってなくなっても、個人AIタクシー事業主としての権利を継続できるのかもしれません。
デメリット
転職の際の選択肢が大幅に狭まる
新卒でタクシードライバーになることの最大のデメリットと思います。
残念ながら、多くのドライバー職以外の企業では「タクシードライバー」の経験を有効な職歴とは見てくれません。(接客業であれば、有効かもしれません)
仕事に対する考え方、やりたいことは多くの場合、働き始めたら変わるものです。
そのときの職業・会社の選択肢が、「新卒」と「タクシー経験のみの中途」の場合では、かなり変わってくると思います。
例えば、新卒で一般的な大企業に入社してから、タクシードライバーに「転職するのは」比較的容易ですが、「その逆」は非常に困難と思います。
「新卒」というカードを使えるのは人生で一度きりです。
よく考えてください。
定年までドライバーとして働き続けられる可能性が低い
他の職業にも言えることですが、タクシードライバーも将来「なくなる」仕事と言われています。
【参考】
定年を65歳とすると、これから40年後、タクシードライバーという職業が残っている保証はありません。
現在、大学生の人がタクシードライバー「のみ」で定年まで食べていくのは厳しいのではないかと思います。
交通事故のリスクが高い
新卒に限った話ではありませんが、他の職種と比べてタクシーなどのドライバー職は圧倒的に交通事故のリスクが高いです。
一般人と比べて運転時間が圧倒的に長いので、当然事故のリスクはあがります。
さらに、タクシーは一般車やバスなどと比べても事故率が高いというデータがあります。
新卒(大卒)タクシードライバーをオススメできる人とできない人
上記のメリット・デメリットなどを考慮すると、新卒でタクシードライバーになることをオススメできない人・できない人は以下です。
オススメできる人
20代でまとまった資金と時間が必要な人
将来やりたいことが明確である、または家庭の事情などで20代でそのための資金と時間が必要な人には、平均的な20代サラリーマンと比べて高給取りになれる可能性が高く、まとまった時間を確保しやすいタクシードライバーは選択肢の一つです。
他の選択肢よりタクシードライバーのほうが稼げる可能性が高ければ、新卒タクシードライバーもアリです。
タクシードライバーとしてできるだけ長く生きたい人
生涯タクシードライバーをやりたい、他の職業は人生の選択肢にはない、と強い意志がある人は新卒でもタクシードライバーをぜひやってください。
そして、個人タクシーを目指してください。
上記で述べたように、タクシードライバーという職業自体がなくなる可能性もありますが、人生の残りの時間を少しでも多くタクシードライバーとして生きたいなら、今すぐタクシードライバーになったほうがいいです。「タクシードライバーなんていつでもできる」とよく言われますが、できなくなる時代がいつかやってきます。
一般企業からの内定が出なかった
やるべきことは全てやりつくしたが、残念ながら他のどの企業からも内定が出なかった。
かといって、個人事業主として独立するにも資金がない。
他に選択肢がない人にとっては新卒タクシードライバーもありだと思います。
オススメできない人
将来やりたいことが明確に決まっていない人
「特にやりたい仕事がないので、とりあえずタクシードライバーになって、タクシードライバーをやりながらやりたいことを考えよう」という人です。
繰り返しますが、「新卒カード」は人生で一度しか切ることができません。
一度タクシードライバーになると、その後の転職の選択肢が大幅に狭まります。
「新卒カード」を最大限に有効活用するなら、「とりあえず、現在最も興味があり条件のいい一般企業に入って、サラリーマンをやりながらやりたいことを考える」ほうが、その後の仕事の選択肢が広がります。
「一般企業(サラリーマン)→タクシードライバー」は比較的容易ですが、「タクシードライバー→一般企業(サラリーマン)」はその選択肢がかなり狭くなると思います。
サラリーマンをやるにも、タクシードライバーをやるにも、「実際になってみないとわからない部分」がかなりあります。
どちらを選択してもわからない部分があるので、将来のビジョンが明確ではない人は、後戻りが効きやすい選択肢(サラリーマン⇒タクシードライバー)を選んだほうが賢明だと思います。
ちなみに、個人的には「とりあえず一般企業に入って考える」期間は長くても1~2年くらいで十分だと思います。
1~2年で「自分にはサラリーマンは合わない」と思ったら、その後もその考えが変わる可能性はかなり低いからです。
逆に、それ以上サラリーマンを続けると、サラリーマンを辞めるのが難しくなる可能性が高いです。(私がまさにそうでした)
運転が苦手・嫌いな人
新卒に限った話ではありませんが、運転が苦手・嫌いな人にはタクシードライバーは全くオススメしません。
いくら、タクシードライバーが他の20代新卒より稼ぎやすいとはいえ、運転が苦手・嫌いな人には相当キツイと思います。
絶対に稼げないとまでは言いませんが、タクシードライバーはほぼ歩合制なので、稼げるようになるには運転が得意・好きな人と比べて相当な努力が必要になります。
タクシードライバーの仕事の9割は車の運転です。
交通量が多く道が複雑な東京でのタクシードライバーの仕事は、田舎の休日のドライブとはわけが違います。
休日のドライブですら苦痛に感じる人には、東京でのタクシードライバーの仕事は「拷問」に近いと思います。
タクシー会社に入社を決める前に、一度、平日の東京都心の道を首都高速も含めてレンタカーを借りて一人で運転してみてください。
生理的、本質的に苦手・嫌いなものを好きになる可能性は低いです。ほかに選択肢があるならあえて選択することではないです。
将来的にタクシー会社の運行管理者になりたい人など、タクシードライバーの経験が必要不可欠な場合を除き、運転が苦手・嫌いな人にはオススメしません。
【参考】新卒でタクシードライバーになりたい人へ
以下は基本的には転職者向けの内容ですが、新卒でタクシードライバーを検討している方にも参考になると思います。